(vitro /vivo)自己免疫疾患(SLE , APS)に対する症状の改善(2024. Jul)

【背景】
タキシフォリンは天然フラボノイドで、抗炎症・抗酸化作用が知られています。
SLE(全身性エリテマトーデス)やAPS(抗リン脂質抗体症候群)は、過剰なNETosis(好中球外網形成)と血栓、慢性炎症が関わるスローリズミックかつ重篤な自己免疫性疾患です。NETosisの制御はこれら疾患への新たな介入ポイントとなります。

【目的】
タキシフォリンが「NETosisを抑制し、Nrf2(抗酸化転写因子)を活性化することで、SLEやAPSモデルにおいてどの程度保護効果が期待できるか」を明らかにすることです。

【研究方法】
<in vitro>
健常人の好中球にSLE/APS患者由来の自己抗体を加え、NETosisを誘発させる。
タキシフォリン(0.1–1 µg/mL)を添加し、NETosisの抑制効果とNrf2依存性を評価する。
<in vivo>
SLEモデル(TLR7刺激による誘発)およびAPSモデルに、タキシフォリン(20 mg/kg/日)を経口投与する。
血中NET量(MPO–DNA複合体)、自己抗体、炎症性サイトカイン、大静脈血栓などを比較する。

【結果】
<in vitro>
タキシフォリンは濃度依存的にNETosisを顕著に抑制する。
Nrf2を阻害すると、この効果は減弱 する。 抑制メカニズムはNrf2依存的である。
<in vivo>
投与群では、血中NET量が低下し」、自己抗体(抗‑dsDNA、抗‑β2GPIなど)が減少する。
炎症性サイトカインの減少、血栓形成の軽減が見られた。
腫大した脾臓の縮小や血液検査異常の改善も確認できた。

【結論および可能性】
タキシフォリンはNETosisをNrf2活性化を介して抑制し、マウスにおいて自己抗体や炎症、血栓を伴うSLE/APSの病態を改善しました。これらのことからタキシフォリンは、過剰な好中球活性とNETosisを中和できる天然成分ベースの治療選択肢として期待されます。
また、NETosisが関与する他の「血栓性炎症疾患」全般にも応用可能性があります。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37815837/