(vitro/vivo)タキシフォリンによるメラノーマ細胞のアポトーシス誘導と増殖抑制(2024-Sep)

【研究の背景】
メラノーマは悪性度が高く、進行例では化学療法耐性や転移により治療が困難となる皮膚がんである。特に PI3K/AKT シグナル経路の恒常的活性化は、メラノーマの増殖、浸潤、転移、治療抵抗性に深く関与していることが知られています。近年、天然物由来化合物の抗腫瘍作用が注目されており、既存治療を補完する新たな候補物質の探索が求められています。

【研究の目的】
本研究は、遺伝子ネットワーク解析(WGCNA)および CMAP プラットフォームを用いたスクリーニングにより、天然フラボノイドであるタキシフォリンをメラノーマ治療候補として同定し、その抗腫瘍作用および分子機構を in vitro および in vivo で検証することを目的としました。

【方法】
公開されているメラノーマ遺伝子発現データを用いて WGCNA により疾患関連遺伝子モジュールを同定し、CMAP データベースを用いて治療候補化合物を探索しました。
選択されたタキシフォリンについて、ヒトメラノーマ細胞株(A375、MV-3)を用いた細胞増殖、遊走、浸潤、アポトーシス、EMT 評価を実施しました。さらに、PI3K/AKT 経路との関連をウエスタンブロット、分子ドッキング解析、経路活性化因子(SC-79)による阻害実験で検証し、マウスメラノーマモデルにより in vivo での腫瘍増殖抑制効果と安全性を評価しました。

【結果】

  • タキシフォリンはメラノーマ細胞の増殖を濃度依存的に抑制した
  • 細胞遊走能および浸潤能を有意に抑制した
  • EMT 関連指標として、E-cadherin の発現増加、N-cadherin・vimentin の発現低下が確認された
  • Bax、cleaved caspase-8、cleaved PARP の増加および Bcl-2 の低下を伴い、アポトーシスを促進した
  • PI3K/AKT 経路のリン酸化(p-PI3K、p-AKT)が抑制され、経路活性化因子 SC-79 によりこれらの効果は部分的に打ち消された
  • マウスモデルにおいて腫瘍増殖が抑制され、体重変化や主要臓器障害などの顕著な毒性は認められなかった

【結論】
本研究により、タキシフォリンは PI3K/AKT シグナル経路の抑制を介して、メラノーマ細胞の増殖、遊走、浸潤を抑え、アポトーシスを促進することが示されました。
これらの作用は in vitro に加え in vivo でも確認されており、タキシフォリンはメラノーマに対する新規治療候補、あるいは補助的治療素材としての可能性を有することが示唆されます。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1567576924010385