(ヒト)タキシフォリン摂取と体重減少の関連を示す臨床観察研究(2025-feb)
【研究の背景】
肥満は世界的に深刻な健康課題であり、体重を減らすだけでなく、減量を長期間維持することが困難である点が大きな問題となっています。
タキシフォリンは、抗炎症・抗酸化作用やミトコンドリア保護作用など、多彩な生理活性を持つ天然フラボノイドであり、動物実験では褐色脂肪細胞の活性化を介して体重減少を促す可能性が報告されています。
【目的】
本研究は、この知見をふまえ、タキシフォリンの長期経口摂取が実際の臨床現場において体重変化にどのような影響を及ぼすのかを検証する目的で実施されました。
【方法】
本研究は、国立循環器病研究センターにおいて実施された単施設・後ろ向き縦断研究であり、2021年1月から7月にかけて定期的に体重を測定していた外来患者62名のデータを解析しました。
対象者のうち36名はタキシフォリン 300 mg/日の摂取を自主的に開始し、26名は摂取していません。
観察期間は両群でほぼ同等(約176日)でした。
研究では、体重やBMIの変化に加えて、HDL-C を中心とした血液代謝指標の変化も評価し、年齢・性別・基礎疾患・薬剤使用などを調整した多変量線形回帰解析により、タキシフォリン摂取の影響を検証しました。
【結果】
● 体重変化
平均観察期間:約176日
非TAX群:−0.3 kg
TAX群:−1.6 kg(p=0.026)
多変量解析でも TAX摂取は独立した体重減少因子(β ≈ −1.5 kg)。
● BMI
TAX群でより大きな低下傾向(p=0.051)
調整後解析では TAX摂取が有意にBMI低下と関連(p≈0.04)
● 血液指標
TAX群では HDL-Cの低下が有意に抑制され、むしろ増加傾向
非TAX:−6.17 mg/dL
TAX:−0.86 mg/dL(p=0.008)
特にTAX群では HDL-C上昇と体重減少が有意に相関(r=−0.431, p=0.022)
→ 褐色脂肪活性化との関連が示唆される。
【結論および応用可能性】
タキシフォリンを1日300 mg、約6か月にわたり摂取した結果、体重およびBMIが有意に減少し、HDL-Cの改善とともに代謝状態が向上することが示されました。
安全性にも問題は認められず、タキシフォリンは肥満管理や体重維持を補助する新たな選択肢になり得ることが示唆されました。
本研究は予備的なものですが、タキシフォリンの持つ代謝改善作用に臨床的可能性を示す重要な知見であり、今後の前向き臨床試験により、その有効性がさらに検証されることが期待されます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40005033/

