(vivo)タキシフォリンとL-リシンの水溶性組成による創傷治癒効果(2025.Mar)

【研究の目的】
本研究は、天然フラボノイドであるタキシフォリン(ジヒドロケルセチン)にアミノ酸のL-リシンを組み合わせることで、水溶性を高めた組成の熱傷(やけど)治療への効果を検証することを目的としています。タキシフォリンにはもともと創傷治癒作用があることが知られており、L-リシンの添加によってスプレー製剤への応用が可能になります。

【結果】
60匹の雄性Wistar系ラットを5つのグループに分け、治療を行いました。シーバックソーンオイル(サジーオイル)**を陽性対照として使用しました。結果として、以下のことが確認できました。
14日目:DHQとL-リシンの組成を使用した群は、他のグループに比べて9.6±2.0%も治癒が進んでいた。
35日目:相対的な創傷面積は、組成群で1.9±0.9%にまで縮小、陰性対照群で10.7±7.8%、陽性対照群で8.4±4.9%だった。

また、組成群の皮膚組織では、表皮と真皮の層構造が明瞭に確認され、多数のコラーゲン線維の形成やケロイド様瘢痕(肥厚性瘢痕)形成の活性化が観察されました。

【結論】
タキシフォリンとL-リシンの組み合わせには相加的効果(F=0.21, p=0.649)が見られ、創傷治癒に有効であることが示されました。今後の課題としては、この組成を基にした製剤(スプレーなど)の開発が挙げられています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40144465/