腸活とタキシフォリン
最近、メディアなどで頻繁に腸活という言葉が取り上げられています。腸活は、腸内環境を整えて健康を維持するための取り組みです。2022年のインターネット調査によると、興味を持っている人の約30%が実際に何らかの腸活を行っているそうです。
なぜ腸内環境を整えることが重要なのでしょうか?実は、腸は水分や栄養を吸収するだけでなく、体の免疫細胞の70%が集まっている場所なんです。つまり、腸は私たちの体のバリア機能を担っているのです。さらに、腸は脳の次に神経細胞が多く存在し、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの90%も腸に存在しています。そのため、腸の状態は私たちのメンタルヘルスにも大きく関わっているんです。腸内環境が悪化すると、アレルギーの原因やうつ病のリスクが高まるなど、様々な健康問題が起こる可能性があります。
腸内環境の状態は、腸内フローラ検査で確認できます。私たちの腸には約1,000種類100兆個もの細菌が生息しており、それぞれの菌が集まって腸内フローラを作っているんですね。
腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、中立菌の3つに大別されます。腸内では日々、善玉菌と悪玉菌がバランスを競い合っています。一般的には、善玉菌が20%、悪玉菌が10%、中立菌が70%の割合が理想的とされていますが、個人によって異なることもあります。
腸内細菌の数や腸内フローラのバランスは、年齢とともに変化します。特に、60歳くらいになると、善玉菌の一つであるビフィズス菌が乳幼児の100分の1にまで減少することが分かっています。また、肉を中心とした食生活になると、脂質や動物性タンパク質を好む悪玉菌が増え、健康な腸内フローラを維持しにくくなる傾向があります。
ではどうすればいいのでしょうか。
腸内フローラを整えるために大切なのは、善玉菌を増やすために積極的に摂取することです。具体的な方法としては、「プロバイオティクス」と呼ばれる善玉菌を含む食品と、「プレバイオティクス」と呼ばれる善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を日常の食事に取り入れることです。
例えば、プロバイオティクスとしては、ヨーグルトや乳酸菌飲料、ぬか漬け、味噌、キムチ、納豆などの発酵食品があります。一方、プレバイオティクスとしては、リンゴやバナナなどの果物、ごぼうやキャベツなどの野菜、豆類、キノコ類、はちみつなどがあります。
ただし、腸内細菌のバランスが重要であるため、食事は偏らずに多様な食材を摂ることが重要です。食事のバランスを意識して、善玉菌とそのエサとなる食品を組み合わせて摂取することが腸内フローラの健康維持に役立つでしょう。
関連するタキシフォリンの働き
タキシフォリンは、腸内細菌叢の改善を介して大腸の炎症を軽減したり、腸内細菌叢の保護効果があることが報告されています。
・Wan F, et al.,Food Funct.;12(22):11420-11434. 2021
・Hou J, et al.,Front Immunol.11:631809,2021
タキシフォリンは、ビフィズス菌の抗炎症活性の増強とビフィズス菌による酢酸と乳酸の産生を有意に促進することが報告されています。
・K. Kawabata, Y. Kato, et al., Biosci.Biotechnol. Biochem., 79, 799 ,2015
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