疲労とタキシフォリン

「最近、疲れがなかなか抜けないんですよね・・」といった言葉はCMのフレーズではありませんが、日本人の多くが疲れを感じていることが、「休養・抗疲労白書2023レポート(一般社団法人日本リカバリー協会)」から明らかになりました。この報告書によれば、20~79歳の人口換算で「疲れている人」が7234.4万人であり、「元気な人」は1985.0万人。男女別では、女性が8割以上を占め、特に20代から30代の女性の疲れが増加している傾向があります。
一般的に使用される「疲労」には、「疲労感」と、その原因である「体の障害や機能低下」という2つの意味が含まれています。代表的な「疲労感」の測定法としては、「Visual Analogue Scale(VAS)」があります。これは被験者が全く疲れていない状態を0(ゼロ)とし、最悪の疲労感を10として、線上でどの位置に自分を感じるかを示すもので、疲労回復をうたう商品の評価に頻繁に使用されています。
体の組織に障害が生じているとき、脳は「疲労感」としてそれを知覚し、無意識に活動を低下させる仕組みがあります。最新の研究によれば、「疲れた」と感じることは、体内で産生された「炎症性サイトカイン」という物質が脳に作用することによって引き起こされるとされています。
強いストレスにより分泌されるアドレナリンや炎症を抑制するコルチゾールは、「疲労感」を抑え込んでしまうことがあります。例えば、仕事が忙しくて徹夜をすると、疲れているにも関わらず元気に感じることがありますが、これは「疲労感」が抑制されているだけで、実際には「疲労」が蓄積されている状態です。このような状態が続くと、過労死などの問題につながる可能性があります。
ですから、疲れた時に即効性をうたっている商品は、単なる「疲労感」の軽減を意味しており、実際には疲労が回復するわけではないことを理解しておく必要があります。

では、どうすれば良いのでしょうか。
まずは、疲労を感じたときは休みととることですが、日々心掛けることとして、良質な睡眠を確保し、バランスの取れた食事、特にエネルギーの代謝に重要なビタミンB群、細胞の正常な機能を維持するためのカルシウム、造血機能に関連する鉄などが大切です
また、栄養ドリンクにはポリフェノールやビタミンA・C・E、リコピンなどが配合されていますが、カフェインや糖質が多いものもありますので、抗酸化作用を期待する場合は、サプリメントで補給する方が良いでしょう。特に、疲れた時は糖分の補給が重要ですが、摂りすぎるとビタミンB群の不足につながる可能性があるため要注意です。

タキシフォリンは、炎症性サイトカインの産生を減少させることが報告されています。
(Piao MH, et al;Inflammopharmacology. 2022 Aug;30(4):1335-1349)
また、タキシフォリンは、VASを用いたアンケートで精神的疲労が軽減されることがが報告されています。(F Shinozaki, et al.,Food Funct . 2023 Apr 24;14(8):3600-3612.)

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