立ちくらみとタキシフォリン
夏バテが進むと、頭痛やめまい、立ちくらみが起こることがありますが、これらは熱中症の症状の一つです。頭痛は脱水によって起こりますが、めまいや立ちくらみは大量の汗をかくことで脳への血流が一時的に減少するために起こります。
立ちくらみとは、立ち上がったときにふらつきを感じることですが、これは立ち上がった際に血圧が急に下がり(起立性低血圧)、一時的に脳への血流が減少することが原因です。健康な人でも立ちくらみは起こるのは、立ち上がると重力で血液が下半身に集まり、脳への血流が一時的に減ることで意識が薄れることによるものです。
しかしながら、私達の身体は立ちくらみが起きないように、血圧を正常に戻すための働きがあります。それは頚動脈などにあるバロレセプター(圧受容体)が血圧の低下を感知し、これに応じて交感神経を介して心拍数と血管収縮を調整して血圧を上げようとします。この機能がうまく働かないと起立性低血圧が生じて立ちくらみが起こりやすくなります。起立性低血圧は、急激な成長やホルモンの変化により自律神経の調節が一時的に不安定になりがちな思春期に起こりやすいですが、血液量が増加し血管が拡張傾向にある妊娠中も起こることがあります。
また、高血圧の人でも体位の変化や降圧薬の影響で血圧が大きく変動し、その結果脳への血流が急に減少して立ちくらみが起こることがあります。
では、どうすれば良いのでしょうか。
まずは、ウォーキングやスイミングなどの有酸素運動やストレッチやヨガなどストレス解消になる運動などで全身の血流を良くすることが大切です。また、テレワークなどをしているときは、意識的に立ち上がったり、長時間座らないことを心掛けたり、座っているときにも、意識してつま先を上げ下げしたり、足首を回したりして血流を促進させるような動作をすると良いです。
また、ベッドから起き上がるときや、座っている状態から立ち上がるときはゆっくりと身体を動かすことはもちろんですが、事前にベッドのうえでゴロゴロしたり、座ったままで体を前後左右に軽くゆらすなどをして血行を良くしておくことを習慣にするのも対策のひとつです。
食事をするときには、①時間をかけて少量の食事を頻繁に摂り食べ過ぎにならないようにする、②炭水化物を控える、③食物繊維を積極的に摂る、④水分を多めにとる、⑤食後はすぐに立ち上がらない、などが大切です。緑茶、コーヒー、紅茶に含まれるはカフェインは血管を収縮させ一時的に血圧を上昇させるので、食後に摂りましょう。そのほかにも、血行を良くする働きがあるポリフェノールなどが配合されたサプリメントを摂ることもおすすめです。
タキシフォリンは、マウスを用いた研究で微小循環(毛細血管を通じて行われる血液の循環)が改善することが報告されています。(MB Plotnikov, Bull Exp Biol Med , 2017 May;163(1):57-60.)
また、タキシフォリンは、赤血球変形能の向上による血流改善作用があることが報告されています。
(Волкой, ЛЕКАРСТВЕННЫЕ ПРЕПАРАТЫ НА ОСНОВЕ ДИКВЕРТИНА,183-185,2005)
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