(vivo)腎線維化の保護 (2020. Apr)

【研究の背景】
抗繊維化作用があるタキシフォリンが腎線維症を予防できるかどうかは不明のままである

【研究の目的】
尿細管間質線維症に対するタキシフォリンの効果と、in vivo での片側尿管閉塞 (UUO) マウスおよび in vitro での NRK-49F 細胞におけるその根底にあるメカニズムを調べる

【結果】
タキシフォリンの片側尿管閉塞(UUO)マウスを用いた研究で、尿細管萎縮、炎症、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化、およびコラーゲン沈着の改善がみられました。
UUO はまた、核因子-赤血球-2 関連因子 2 (Nrf2)、カタラーゼ、およびヘムオキシゲナーゼ-1 のレベルを低下させましたが、H2O2を増加させましたが、タキシフォリンはこれらを改善しました。

In vitro では、TGF-β1 に曝露された NRK-49F の細胞内 Nrf2 レベルの減少、TGF-β1 が誘導する活性酸素種の蓄積の除去、TGF-β1 が誘導する Smad3 リン酸化阻害、NRK-49F における TGF-β1 が誘導する線維芽細胞の活性化とコラーゲン合成の防止が見られました。Nrf2 ノックダウンは、酸化ストレス、Smad3 リン酸化、線維芽細胞活性化、およびコラーゲン沈着に対する タキシフォリンを介した阻害効果を抑制する可能性があります。さらに、タキシフォリンはUUOマウスで確立された腎線維症を改善しました。

【結論および可能性】

タキシフォリンは、誘発性腎線維症に対して顕著な予防効果と治療効果をもたらし、Nrf2 シグナル伝達を介した酸化ストレスと Smad3 リン酸化を減少させることにより、線維芽細胞の活性化を抑制しました。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0944711320300180