(vivo)うつ病治療の可能性(2024.Mar)
2024年8月6日
最終更新日時 :
2024年8月27日
sanoh
【研究の目的】
うつ病の根底にある経路を標的にすることで、SDラットにおけるうつ病症状の緩和に対するタキシフォリンの影響を調べる
【結果】
研究ではリポ多糖類(LPS; 500 mg)の腹腔内注射によってうつ病を誘発したラットを用いました。
特定のタンパク質とリガンド(例えば、薬物や小さな分子)がどのように結びつくかを予測するための計算手法である分子ドッキング解析を実施し、さまざまな標的に対するタキシフォリンの結合親和性(どれだけ強く結合するかの度合)を検証しました。
タキシフォリンのコンピューター解析により、ドッキング後のさまざまなタンパク質標的との相互作用のさまざまな側面が明らかになりました。
タキシフォリンは、行動研究、抗酸化分析、組織病理学的検査、免疫組織化学、ELISA法(酵素結合免疫吸着測定法)、RT PCR(reverse transcription PCR)によって神経保護効果を示し、生存ニューロン数の増加、細胞サイズと形状の正常化、空胞化の減少を示しました。
タキシフォリンは、TNF-α、NF-κb、IL-6、COX-2などの炎症マーカーも減少させ、保護的なPPAR-γ経路(細胞内での脂質代謝やインスリン感受性、炎症応答などを調節する重要な経路)を著しくアップレギュレーションおよび活性化し、それによって酸化ストレス、神経炎症、神経変性を軽減し、実験的ラットうつ病モデルにおけるうつ病症状を改善しました。
【結論および可能性】
これらのことから、タキシフォリンが部分的にPPAR-γ経路を介して神経保護剤として作用することを示唆しています。