(in vivo)ゲンタマイシン誘発腎障害に対する保護作用(2025-Jun)

【研究の背景】
ゲンタマイシンはグラム陰性菌感染症などの治療に使用されるアミノグリコシド系抗菌薬ですが、副作用として腎毒性を示すことがあり、臨床使用上の課題となっています。ゲンタマイシンによる腎障害には、酸化ストレス、炎症反応およびアポトーシスが関与することが知られています。一方、タキシフォリンには抗酸化・抗炎症作用が報告されており、薬剤誘発性腎障害に対する保護作用が期待されています。

【研究の目的】
本研究は、ゲンタマイシンによって誘発される腎障害に対するタキシフォリンの保護作用を検証するとともに、酸化ストレス、炎症、アポトーシスおよびNrf2シグナルとの関係を明らかにすることを目的としました。

【研究の方法】
マウスにタキシフォリン(25または50 mg/kg/日)を14日間経口投与し、8~14日目にゲンタマイシン(100 mg/kg/日)を腹腔内投与しました。血清クレアチニン、尿素、腎組織の病理学的変化、酸化ストレス・抗酸化関連指標、炎症関連因子、アポトーシス関連タンパク質およびNrf2/HO-1シグナルを評価しました。

【結果】

  • ゲンタマイシン投与により血清クレアチニンおよび尿素が上昇し、腎組織障害が認められた。
  • タキシフォリン投与により腎機能および腎組織の病理学的変化が改善した。
  • ゲンタマイシンによって増加したMDAおよびタンパク質カルボニルがタキシフォリンによって低下した。
  • 低下したGSH、カタラーゼおよびSODなどの抗酸化能が改善した。
  • タキシフォリンはNF-κB p65の発現を抑制した。
  • IL-6およびTNF-αなどの炎症関連因子が低下した。
  • Caspase-3およびBaxの増加、Bcl-2の低下が改善され、アポトーシスが抑制された。
  • ゲンタマイシンによって低下したNrf2およびHO-1がタキシフォリンによって回復した。

【結論】
本研究により、タキシフォリンはゲンタマイシンによって生じる酸化ストレス、炎症およびアポトーシスを抑制し、腎機能および腎組織障害を軽減することが示されました。その作用には、Nrf2/HO-1シグナルの回復が関与すると考えられました。

これらの結果から、タキシフォリンはNrf2を介した生体の抗酸化防御機構を活性化することにより、ゲンタマイシンによる薬剤性腎障害に対する保護因子となる可能性が示唆されました。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00210-025-04396-1