風邪とタキシフォリン
新型コロナが猛威を奮う中で、インフルエンザは2020/21シーズンおよび2021/22シーズンの定点当たり報告数のピークは、それぞれ0.02、0.04と非常に低いレベルで推移しましたが、2022/23シーズンは、2022年第40週以降、第47週を除いて継続して増加し、第51週(12月19〜25日)には1.24(報告数6,103例)と1.00を上回ったため、全国的にインフルエンザは流行期に入ったと判断されました。その後も定点当たり報告数は、第52週2.05、2023年第1週4.73、第2週7.37、第3週9.59(報告数47,366)と継続して増加しました。
※1医療機関の報告患者数)÷(定点指定された医療機関数)=(定点当たり)、1以上「流行開始レベル」、10以上「注意報レベル」、30以上「警報レベル」
新型コロナウィルスの登場で、風邪の原因に4種類のコロナウィルスによるものがあることが知られるようになりました。細菌を退治するための薬である抗生物質は、風邪のほとんどの原因であるウイルスに対して効果が期待できないにも関わらず、かつては風邪をひくと必ず処方されていました。しかし、このような抗生物質の安易な使用によって、「薬剤耐性菌」という薬が効かない菌が蔓延するようになってしまいました。2021年の12月には、この「薬剤耐性菌」による死亡者が、国立国際医療研究センター病院(東京)などの研究チームによって全国で少なくとも年間8千人以上いるとの推計結果が報じられました。このときに調査した代表的な耐性菌が日本で検出の多いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)でした。
日本呼吸器学会や厚生労働省のホームページなどでもウイルスに効果のない抗菌薬は不要であることを伝えていますが、これまでの「風邪には抗生物質」の慣習から患者さん側もなかなか抜けられないようですね。
ご存じのとおり、風邪は別名「かぜ症候群」とも呼ばれ、「のどの痛み」「鼻水・鼻づまり」「くしゃみ・咳、たん」「発熱」「頭痛」「筋肉や関節の痛み」「全身の倦怠感」などの症状を伴います。
一般的には治療には症状に応じて解熱作用や抗炎症作用、鎮痛作用などのある薬が処方されますが、十分な睡眠、こまめに水分をとる、消化しやすい食事や栄養をとる、そして体を温めて安静にするということが大切とされています。
風邪の予防については、睡眠や食事はもちろんですが、マスクをする、うがいや手洗い、人混みを避ける、と既にみなさんが新型コロナ感染対策で日ごろから心掛けていることですね。
関連するタキシフォリンのはたらき
タキシフォリンは、マウスを用いた試験で致死量のMRSAによって誘発される肺炎から保護し、生存率を大幅に改善したことが実証されています1)。また、タキシフォリンの複数の感染症を促進する免疫の発達を低下させる可能性があることや2)、炎症において中心的な役割を果たしておりプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を阻害する働きがあること3)が報告されています 。
1.Li Wang , Guangming Wang,et al: Front Microbiol. 2021 Jul 6;12:686864. doi: 10.3389/
2.Melanie Ricke-Hoch, Elisabeth Stelling, et al . PLOS ONE. 2021 Aug;16(8).
3.Mari Hämäläinen , Planta Med. 2011 Sep;77(13):1504-11. doi: 10.1055/
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