(vivo)糖尿病網膜症の効果(2019. Sep)

【研究の背景】
糖尿病性網膜症(DR)は、失明の主要原因の一つですが、DR患者では、抗酸化防御機能が破綻し、活性酸素やインターロイキン1β(IL-1β)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)などの炎症性サイトカインの産生が増加します。タキシフォリンは、活性酸素、IL-1β、TNF-αの産生を抑制することが報告されています。

【研究の目的】
アロキサンによって誘発されるDR損傷に対するタキシフォリンの保護効果を生化学的および病理組織学的に検討する

【結果】
タキシフォリン投与(TAX群)と生食投与(DC群)のアロキサン投与ラット(血糖値250 mg/dL以上)と非糖尿病の生食投与(NC群)の3群に対してマロンジアルデヒド(MDA)、総グルタチオン(tGSH)、IL-1βおよびTNF-αの濃度を測定した結果、DC群の血液サンプルでは、MDA、IL-1βおよびTNF-αレベルがNC群と比較して有意に上昇し(p<0.0001)、TAX群ではDC群と比較して低下しました(p<0.0001)。tGSHは、DC群ではNC群に比べ有意に低下し(p<0.0001)、TAX群ではDC群に比べ上昇しました(p<0.0001)。病理組織学的には、TAX群では網膜神経節細胞がやや拡張し血管が鬱血しており、DC群では網膜神経節細胞層に重度の損傷を与えてました。
【結論および可能性】
これらのことから、タキシフォリンが糖尿病性網膜症(DR)の治療に有益であることを示唆しており、糖尿病患者の合併症対策として期待されます。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30897968/