【研究の目的】
通常は、脳ではミクログリアという細胞が働いて老廃物などを除去し、脳内環境を維持しているが、糖尿病や加齢に伴い、ミクログリアが活性化したり機能異常を起こしたりすると、神経や血管を傷つける活性酸素や炎症性物質を産生し、認知症リスクにつながる可能性が考えられている。そこで、糖尿病性刺激を受けたミクログリアに対しても、タキシフォリンはその活性化を抑制する可能性があるかどうかを、調べることとなった。
【結果】
糖尿病性刺激を受けたミクログリアにおいて、活性酸素の増加とともにTXNIP?NLRP3という細胞内経路が活性化し、炎症性物質の産生が増加することを見出した。さらに、タキシフォリンは、活性酸素を減少させることでその炎症誘発経路・TXNIP?NLRP3を抑制し、ミクログリア活性化を抑制することを、世界で初めて明らかにした。
【結論および可能性】
これらのことは認知症に対するタキシフォリンの効果について、新たな脳保護作用とその機序を提唱するものと考えられる。タキシフォリンは、ミクログリアに対する直接作用と、糖代謝改善を介した認知機能低下抑制という間接作用との相乗効果により、糖尿病による認知症リスクの低減へ効果的に寄与する可能性が期待される。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36946764/