(review)がん治療の可能性(2024,Oct)
2024年10月8日
最終更新日時 :
2024年11月19日
sanoh
【研究の背景】
タキシフォリンは、がん治療や化学療法誘発毒性に対する細胞保護における多面的な役割で注目を集めており、腫瘍内のいくつかのプロセスを制御する重要なシグナル伝達経路を調節するため、腫瘍抑制に重要な役割を果たす可能性があるとされている。
【研究の目的】
PubMed や Google Scholar などのオンライン データベースでタキシフォリンの抗癌治療における可能性に関連するキーワードをいくつか組み合わせて検索し、それらの論文から抗腫瘍メカニズム、相乗的組み合わせ、細胞保護効果など、癌治療におけるタキシフォリンの役割を調査する。
【結果】
過去 15 年以内に発表された合計 84 件の論文をPRISMA ガイドラインに従って分析した結果、タキシフォリンは以下の作用があることが確認されている。
- cGMP-PKG 経路を介して腫瘍の増殖、移動、浸潤を阻害し、G1 期停止とアポトーシスを誘導する。
- 抗血管新生およびプロアポトーシス効果は、Hif1-α、VEGF、および AKT のダウンレギュレーションによって媒介される。
- 従来の化学療法剤と相乗効果を発揮し、その有効性を高め、P 糖タンパク質発現を阻害することで薬剤耐性を軽減する。
- フェロプトーシス(鉄依存性の制御性細胞死の一種)を阻害することで、シスプラチン誘発性腎毒性および神経毒性、シクロホスファミド/パゾパニブ誘発性肝毒性、メトトレキサート誘発性口腔粘膜炎、およびドキソルビシン誘発性心毒性に対する細胞保護効果を示す。
- 腫瘍微小環境において免疫調節効果があり、免疫応答を強化し、腫瘍を免疫チェックポイント阻害剤に対して感受性がある。
【結論および応用可能性】
全体的に、タキシフォリンは多目的抗がん剤として期待されており、直接的な抗がん効果と化学療法誘発性の毒性に対する保護効果をもたらす可能性がある。
タキシフォリンががん治療における相乗効果のある組み合わせを調べるには、安全性と有効性の確認および処方を最適化のうえで臨床試験が必要である。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0944711324005920