(vivo)神経保護作用:細胞死と炎症を抑え、脊髄損傷を改善する新たな可能性(2025-Oct)

【研究の背景】
脊髄損傷では、初期損傷に続いて酸化ストレス、炎症、脂質過酸化、フェロトーシスなどの二次障害が進行し、神経機能の回復を妨げる。ジヒドロケルセチン(タキシフォリン)は抗酸化作用を持つフラボノイドであり、神経保護作用が期待されています。
※フェロトーシス:細胞膜の脂質が酸化されることで起こる、鉄が関係する細胞死の一種。

【研究の目的】
ジヒドロケルセチンが脊髄損傷後の神経障害を改善するか、またその機序にAKT/Nrf2/GPX4経路を介したフェロトーシス抑制が関与するかを検討すること。

【方法】
ラット脊髄損傷モデルを用い、ジヒドロケルセチン投与後の運動・感覚機能、組織障害、酸化ストレス、炎症、フェロトーシス関連指標、AKT/Nrf2/GPX4シグナルを評価しました。

【結果】

  • ジヒドロケルセチンは脊髄損傷ラットの運動・感覚機能を改善した。
  • 酸化ストレスと神経炎症が軽減された。
  • 脂質過酸化が抑制された。
  • フェロトーシス関連障害が軽減された。
  • AKT/Nrf2/GPX4シグナル経路が活性化された。
  • 神経組織の二次障害を抑える可能性が示された。

【結論】
ジヒドロケルセチン(タキシフォリン)は、AKT/Nrf2/GPX4経路を調節し、フェロトーシス、酸化ストレス、神経炎症を抑えることで、脊髄損傷後の神経保護に寄与する可能性が示されました。

この結論から、タキシフォリンは単なる一般的な抗酸化物質にとどまらず、AKT/Nrf2/GPX4という特定の分子経路を介して、フェロトーシス、酸化ストレス、炎症という複数の病態要因を同時に抑制し、脊髄損傷後に低下した運動・感覚機能の改善に寄与する可能性が示唆されます。
特に、細胞死、酸化ストレス、炎症という神経障害に関わる主要な要因に多面的に作用している点は、ジヒドロケルセチンの神経保護作用および治療的有用性を考えるうえで、非常に興味深い知見といえます。

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41167533/