暑さもやわらぎ、今年も残すところ3ヶ月。これから涼しく、そして寒くなっていくので、入浴が必須の季節ですね。
今回は「水素風呂と医療」がテーマです。以前のコラムでは、水素ガス吸引療法が先進医療として認められ、慶応義塾大学病院にて行われていることをお伝えしました。これは突然の心停止から蘇生したものの、脳などの臓器にダメージを負って重い後遺症が残ってしまう心停止後症候群の方を対象にしたもので、従来の低体温療法に加え水素ガスを吸引することで、脳が酸素の不足によって受けたダメージを軽減するというものでした。水素ガスによる体内有害物質の無毒化が期待されており、簡便で効果的な治療として期待されています。
水素は世界一小さいとされる物質ですから皮膚から奥深くまで浸透し、また湯気の中に溶け込んだ水素が呼吸からも取り込まれるので、効率的に水素のチカラを実感することができます。
例えば、入浴により取り込んだ水素が脳内・体内の活性酸素と戦い、血中抗酸化力が増大することが判明しているほか、体温が長時間保持される効果、乾燥や痒み・痛みなどの皮膚症状に働きかける作用、リラックス効果や脳波への好影響など、水素風呂のさまざまなメリットが明らかなってきているようです。
しかしまだ世間ではこの研究内容が十分に知られているとは言い難いでしょう。そのためエビデンスをさらに蓄積し、水素風呂の有用性を広まれば良いな、と願うばかりです。
健康・美容はもちろん、最近ではトップアスリートのパフォーマンス向上を目的に用いられるなど、スポーツシーンでも欠かせないものになりつつある水素。注目される医療シーンでは、主に活性酸素が関与する病気の「治療」に、大きな期待がかけられているのです。