先日、米製薬大手ファイザーが日本での新型コロナウイルスワクチンの承認申請を行いました。先駆けてEUでは同ワクチンが承認されており、この年末にはEU加盟27カ国でワクチンの接種が始まるそうです。

 

東京オリンピック一色になるはずだった2020年、今年ほど「ワクチン」という言葉を聞いたことも、発したこともない年になるとは…というくらい、期待は高まっています。毎年、インフルエンザでたいへん多くの人が亡くなっていることを考えれば、過度な期待はできません。しかし「かかりにくくなる」「重症化を防げる」というのであれば、「withコロナ」の時代にとって必須のものになるでしょう。

ところで、あらためて「ワクチンとはなにか?」を問われて、皆さん答えることができますか? 例えば母親から「あなたはおたふくかぜをやっているから大丈夫」など、子どもの頃に言われたことがありませんか? 一度かかることで“免疫”ができ、二度はかからないということですね。そこで“免疫”ができる病気であれば乳幼児の頃や健康なときに、あらかじめ体内に入れて免疫力を高めるというのが「ワクチン」です。ワクチンには病原体の一部を取り出したり、毒素を抽出して無毒化したり、生きた病原体の力を弱めたりしたものを使います。

特に生きた病原体を弱めた「生ワクチン」は体内で徐々に菌が増えるため、接種後に軽い症状が出ることがあります。そのため「生ワクチン」は自然にその病気にかかったのと同じ免疫力がつくと言われ、代表的なものは『麻しん風しん混合』『麻しん(はしか)』『風しん』『みずほうそう』『BCG』『おたふくかぜ』などです。一方、病原性をなくした細菌やウイルスの一部を使う「不活化ワクチン」は、日本脳炎・インフルエンザ・A型肝炎・B型肝炎・肺炎球菌などで、生ワクチンに比べると免疫がつきにくいため数回に分けて接種します。

諸外国に比べて、新薬の承認には時間のかかる日本。今回のような緊急事態ではスピーディーな対応が行われることが予想されますが、やはり怖いのが副反応です。新型コロナに罹患しなかったけれど、ワクチンにより命を落とした…では本末転倒です。かつて予防接種によるたくさんの健康被害が出ていることから、しっかりその安全性を検討してから承認してほしいものです。

これまでの歴史で唯一人類が勝利したのが「天然痘」と言われています。これだけ医学が進歩してもこの結果ですから、新型コロナウイルスが完全になくなることはほぼないと言っていいでしょう。しかし安全なワクチンが開発されれば、「ただの風邪」レベルにまで危険性を下げることができるかもしれません。少しでも苦しむ人が減り、誰もが気兼ねなく生活できる世界に戻ることを願っています。