今回は機能性食品素材である「タキシフォリン」の原点、シベリア・タイガとカラマツがテーマです。
タイガとは、シベリアに発達する広大な針葉樹林を指します。タイガは地球上の森林面積のおよそ4分の1を占めると言われるとても広大なもの。地下には数十メートルとも言われる永久凍土があり、約4万年に生息したマンモスの仔をはじめ、仔馬や仔犬などが発見されています。なお、もともとタイガはシベリア地方のことでしたが、現在では北ヨーロッパや北アメリカの亜寒帯北部に分布する針葉樹林全体も「タイガ」と呼ぶそうです。
そのシベリア・タイガに自生するシベリアカラマツが、機能性食品素材として注目を集める「タキシフォリン」の原料です。夏は暑く、冬にはマイナス50℃にも達する激しい寒暖差の中で、数百年も生き続けるというシベリアカラマツ。特に中央~東シベリアの永久凍土上には、カラマツが圧倒的に多いという報告もあります。
原住民は「神の樹」と呼び、木の皮を剥いで削り出した木を、馬のミルクや魚粉とともに煮出してスープとして飲んでいたと言います。このように古くから薬用植物として重宝されてきたシベリアカラマツから、ポリフェノールの一種であるジヒドロケルセチンの抽出に成功、1960年代後半に機能性素材としての「タキシフォリン」が誕生しました。ちなみに「タキシフォリン」は欧米での名称で、ロシアでは「ジヒドロケルセチン」と呼ばれます。
また余談となりますが、厳しい環境で生まれ育ったシベリアカラマツは、機能性素材以外にも木目や年輪が細かい非常に美しい木目の建材として人気とのこと。針葉樹の中では特に優れた耐久性を持つ固く思い木材で、外壁、内装、ウッドデッキ、床や壁など使用用途は幅広く、耐朽性・耐水性の高い木材なのだそうです。中心は赤褐色で、辺材は黄白色。極寒の地・シベリアで育ったカラマツは、他エリアのカラマツとは「全くの別物」と評価される高級素材として扱われているそうですよ。
本国ロシアでは医薬品原料として認可されているほか、タキシフォリン含有のサプリメントも複数販売されています。2005年には厚生労働省より食品(カラマツ抽出物)として認可され、2009年にはアメリカGRAS認証を取得。さらに2016年にはNovel Food(EU)として承認されており、世界各国からその機能性に注目が集まっています。
タキシフォリンには、認知機能改善、糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病の予防など、さまざまな機能性が判明しており、今後ますますの研究が期待されています。一年を通じ100℃近い寒暖差がある厳しい土地で育った強靭なシベリア・タイガのカラマツから、私たちはその神秘的な生命力を分け与えてもらっているのです。