それほど知名度は高くないものの、その機能性で注目を集めるポリフェノールの一種「ルチン」。かつて「ビタミンP」と呼ばれたルチンは、ビタミンCの吸収促進効果、毛細血管の働きを安定・強化作用、脳出血など出血性疾患の予防、高血圧や動脈硬化症、認知症、糖尿病の予防など、さまざまな効果が報告されています。

ビタミンCの吸収を促進し一緒になって働くルチンは、毛細血管を強くする効果があります。そのため脳出血などの出血性疾患の予防効果だけでなく、もろくなった血管の弾力性を取り戻し、血流を改善する働きも。そのため血液循環に関わるすべての病気、心疾患の予防や改善にも力を発揮します。また、ルチンには、膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促す作用、その強い抗酸化作用で脳細胞の老化を防ぐなど、糖尿病や認知症対策素材としても期待されています。なんだか現代人にとっては夢のような素材ですね。

このルチンが多く含まれるのが蕎麦。ルチンは1日20㎎の摂取が推奨されており、一般的な一人前の量の蕎麦を毎日食べるとそれだけで必要十分な量がとれるそう。しかし、ルチンは水溶性であることから、蕎麦をゆでている途中にお湯に溶け出てしまうため、「そば湯」という文化ができたのだとか。現代はすぐに「エビデンス」を求めますが、昔の人は体感で「お湯に溶けだしたものが体にいい」ということが分かっていたのですね。

とはいっても、毎日蕎麦を食べ続けることは現実的ではありません。そこでおすすめなのがソバ茶。株式会社伊藤園の中央研究所が行った44~68歳の男性24人を対象にした試験では、日常的なソバ茶の摂取が、血流改善に有効であることが確認されています。

 

この試験では、ソバ茶摂取群、ルチン摂取群、対象群とそれぞれ3グループに分け、1週間、それぞれの飲料を摂取。その結果、ソバ茶群は血液流動性の大きな改善効果が認められました。ルチン群は効果がないわけではないものの、「単独では効果が弱く、ソバ茶として飲用することが血流改善に有効」とされています。ルチンそのものを摂取するよりも、ソバ茶として飲むほうが効率的なようです。

そして蕎麦のなかでも、韃靼蕎麦に含まれるルチン含有量はなんと約120倍! もちろん蕎麦として食べ、そば湯を飲むのもいいでしょう。しかし韃靼蕎麦もさまざまなメーカーから「韃靼そば茶」が販売されているので、毎日継続して摂取しやすいのがポイントです。

世間では「体にいい機能性素材」が、摂取しきれないほど紹介されています。結局どれを摂ればいいの?となりがちですが、気が付いたときに、気分で選んでみることをおすすめします。例えば、風邪やインフルエンザが流行ってきたらカテキン豊富な緑茶をセレクトしたり、たまたま入ったコンビニで韃靼そば茶が売っていたら、その日はそれを飲んでみたり。昨日のランチはウコンの入ったカレーだったから、今日のお昼はルチンたっぷりのお蕎麦にしよう。3時のおやつはケーキではなくチョコレートに、夜はビアホールではなくワインバーに。ゆるく、おいしく、続けていきましょう。

[参考]

https://www.nichimen.or.jp/

https://www.itoen.co.jp/company/research/result/detail.php?id=23976