MCTオイル

かつては「不健康の代名詞」のように思われていた油。ダイエットや食生活の改善を図る際、まず始めにやることが「油を控える」でした。現在は、適量の「良質な油」が糖尿病など疾病予防につながる、美容にも効果的だと広く知られるようになり、「積極的に摂取したいものの一つ」として認知されています。その一つがMCTオイルです。

 

MCTオイル(中鎖脂肪酸油)とは

MCTオイルとは、ココナッツやパームフルーツなどヤシ科の種子に含まれている中鎖脂肪酸が100%のオイルのことです。一方キャノーラ油等の一般的な油は、長鎖脂肪酸と言われるものです。中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸と比較して水になじみやすいことから消化吸収が早く、直接肝臓へ運ばれます。エネルギー源として効率よく使われ、体脂肪として蓄積されづらいという特徴があることから、食事制限やダイエット時のエネルギー補給としても注目されています。

 

MCTオイルの働きをチェック

MCTオイルと言えば、ダイエットに良いという噂もありますが、その理由は、分解・吸収・消化が早いというところにあります。MCTオイルは、長鎖脂肪酸と比較すると、効率的にブドウ糖の代替エネルギーとなり、また体脂肪を燃やす補助的な役割を持っています。身体を動かすときのエネルギー源は糖質と脂質が主になりますが、例えば持久力が必要なマラソンにおいては、体内に蓄積されている糖質だけではエネルギー源が不足する可能性があります。MCTオイルを日常的に摂取することで、脂質をエネルギー源に回すことが出来ることから、摂取が推奨されています。

さらに、アメリカの研究では、アルツハイマー病患者および軽度認知症の患者にMCTオイルを摂取してもらった結果、血中のケトン体が増えて記憶力低下が抑制されることが明らかになっています。

 

MCTオイルはいつ飲むのがおすすめ?摂取目安量は?

MCTオイルは脂質であり、エネルギー源となるため、これから活動する朝食後がベスト、難しい場合は昼食後の摂取がお勧めです。またMCTオイルは3時間おきに消化吸収されると言われているので、こまめに摂取するのが理想的と言われています。

1日の摂取目安は、小さじ1杯(5ml)~大さじ1杯(15ml)です。MCTオイルは熱に弱いため、生のまま摂取できる、サラダやヨーグルト、または味噌汁等に入れるのもお勧めです。

MCTオイルは機能性の高いオイルではありますが、カロリーが高いため過剰摂取には注意が必要です。糖尿病患者はケトン体の上昇で合併症を引き起こす可能性もありますので、医師に相談して適切に摂取しましょう。

 

MCTオイル選びの5つのポイント

MCTオイルを購入する際のポイントは5つあります。

1.成分表記内に、中鎖脂肪酸C8(カプリル酸)とC10(カプリン酸)の表示があるもの

C8とC10は、中鎖脂肪酸の中でも、脂肪としてたまりにくく、吸収後すぐにエネルギーになりやすいと言われていますので、C8とC10のみで構成されているMCTオイルがおすすめです。

2.化学溶剤不使用なもの

中鎖脂肪酸を抽出する際、効率的にMCTを抽出するため、化学溶剤を使っているものもあります。残留溶剤の問題などもありますので、出来れば化学溶剤不使用なものが良いでしょう。

3. 遮光性の高い容器に入っているか

光による酸化や品質の劣化を防ぐために、遮光性のある容器を使用している商品を選ぶと鮮度を長時間にわたり維持することが出来ます。透明な容器は光を通しやすく、MCTオイルの劣化を招く可能性もありますので、避けましょう。

4.様々な料理に使いやすい風味であるか

MCTオイルの中にも、商品によって風味や味が異なります。MCTオイルは、加熱により酸化、また栄養価が減少するため、加熱せずに摂取することが大切です。そのため、出来れば無味無臭のものを選ぶと、様々な料理に活用でき、毎日摂取しやすくなります。

5.ココナッツオイル由来のもの

MCTオイルの原料として、ココナッツやパームから抽出されます。その中でも特に、ココナッツオイルが良いとされています。ココナッツオイルは、前述したC8、C10が豊富に含まれていること、また、ココナッツオイルが自然界で入手しやすいことから化学物質が使用されず、自然な原料とされていることから、好まれる傾向があります。

まとめ

・MCTオイルとは、中鎖脂肪酸が100%のオイルのこと

・MCTオイルは、分解・吸収・消化が早いためダイエットやスポーツで摂取が推奨されている

・MCTオイルは、小さじ1杯(5ml)~大さじ1杯(15ml)を朝食後に摂るのがオススメ

・MCTオイルを選ぶポイントは、C8とC10の配合

生活習慣病予防やダイエット、スポーツ、認知機能など、さまざまな場面での活用が広がっているMCTオイル。推奨摂取量をしっかり守りながら日々の生活に取り入れて、より健康な毎日を送りましょう。