乳がんは日々の食事と深い関係があるとされ、近年では、乳がんと生活習慣病との関係について様々な研究が行われています。
乳がんとは、乳房に張り巡らされている乳腺に悪性の腫瘍が出来てしまう疾病のことです。2019年の厚生労働省の統計によると、女性の癌の最も割合の多い罹患部位は乳がんであると公表されており、年齢は30代以降から罹患率が急上昇すると記載されています。
また、乳がんは「ホルモン依存性のがん」といわれ、乳がん細胞の増殖はエストロゲンの働きと深い関係があります。
飲料と乳がん
乳製品と乳がん
乳製品の摂取は、乳がんの発症リスクを高める可能性があることが報告されています。その理由の一つとして、牛の成長を促すためのホルモン剤の影響から、乳製品の脂肪には女性ホルモンが多く含まれていることが挙げられます。乳製品の中でも低脂肪のものより高脂肪のものは発症リスクが高いとされています。
アルコールと乳がん
アルコールは肝臓で代謝されますが、エストロゲンも同様に肝臓で代謝されることから、アルコール飲料の摂取は、女性ホルモンである”エストロゲン”の血中濃度を上昇させます。過剰なアルコール摂取によって、エストロゲンの代謝が疎かになり、血中のエストロゲンの濃度が上昇、乳がんの発生リスクも上昇します。
緑茶と乳がん
緑茶でがんの予防が出来るという内容は実証されておらず、2010年に厚生労働省が示した調査結果では、緑茶の摂取と乳がんの関連性は低いとされています。一方、緑茶に含まれるカテキン「エピガロカテキンガーレート(EGCG)」には、新血管新生(がんの成長に必要な新しい血管の形成)を抑制する役割があることから、がんの進行を抑える効果があるのではないかとされています。
食べ物と乳がん
大豆製品と乳がん
2016年国立がん研究センターでは、西洋化された食事パターンと伝統的な日本人の食事パターンのグループを比較した結果、西洋化された食事パターンは乳がんのリスク増加に関連していると発表しました。日本人の食事パターンが乳がんリスクの低減につながる理由の一つとして、大豆製品にあると言われています。豆腐、納豆、味噌などには、イソフラボンが多く含まれており、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをしてくれます。イソフラボンには、女性ホルモンのような働きをするだけでなく、エストロゲンの過剰な働きを抑える働きもあるため、乳がんを予防し、進行を抑えることが報告されています。
タキシフォリンと乳がん
ポリフェノールには、発がん物質の活性化を阻害し、発がん性物質を身体から排出する酵素の働きを活性化させる作用があると報告されています。 ポリフェノールの一種であるタキシフォリンは、マウスモデルにおいて、乳がんの原発腫瘍の成長を著しく阻害し、転移を減少させたと報告されています。(Li J, et al. Life Sci Commun. 2019 6:29)
まとめ
・乳製品は高脂肪のものより低脂肪のものを
・アルコールは乳がん発生リスクを上昇させる
・緑茶に含まれるカテキン(エピガロカテキンガーレート)にはがんの進行を抑える効果がある
・大豆イソフラボンにはエストロゲンの過剰な働きを抑え、乳がんの進行を抑えることが報告されている
・タキシフォリンにはがん細胞の成長を阻害し、転移を減少させるエビデンスがある
まだ若いから…自分だけは大丈夫…と検査を怠っていませんか?
乳がんは早期発見により治癒しやすい疾病ともいわれています。
食生活と定期的な検査で安心して毎日を送れるようにしたいですね。