ウィリアム・オスラー博士が提唱した「人は血管と共に老いる」という言葉があります。三旺コーポレーションでも「血管から始まる健康」をキャッチフレーズに、血管ケアの重要性を提唱してきました。血管は目に見えづらく、老化を実感しにくい臓器です。しかし、自分の血管年齢を把握することは、自身の健康リスクを知る第一歩となります。

血管年齢とは

血管年齢とは、血管のしなやかさや硬さを基準に算出される指標で、血管の健康状態を年齢として表したものです。年齢とともに血管も老化しますが、生活習慣や食事の改善により血管年齢を若返らせることも可能です。たとえば、実年齢50歳の方でも、健康的な生活習慣を維持することで血管年齢が20代のレベルを保つことができます。

血管年齢は、動脈硬化の進行度を示す指標としても利用されます。調剤薬局やショッピングモール内に設置されている血管年齢測定機器では、指先の脈拍を測定する加速度脈波計が一般的です。医療機関では、左右の上腕部と足首にベルトを巻いて測定する血圧脈波検査(ABIやPWV)により、より詳しい動脈硬化の進行度を評価します。

血管が老ける原因は?

血管の老化にはいくつかの要因が関与しており、加齢だけでなく生活習慣も大きな影響を及ぼします。

・加齢

人の細胞は生涯にわたり分裂を繰り返しますが、分裂可能な回数には限界があります。血管も細胞の集合体であり、加齢とともに再生能力が低下し、柔軟性が失われ脆くなります。さらに、加齢はコラーゲンやエラスチンといった血管壁の主要な構成成分の劣化を引き起こし、血管の弾力性を低下させます。

・運動不足

運動不足は脂質や糖質の代謝効率を低下させ、悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪の増加を招きます。これが血管壁に蓄積するとプラークが形成され、血流を妨げます。また、運動不足は血管拡張に必要な一酸化窒素(NO)の分泌を減少させ、血管の硬化を促進します。

・生活習慣の乱れ

喫煙や過度なストレスも血管の老化を加速させます。タバコに含まれる有害物質は血管を収縮させ、血圧上昇と内皮細胞の損傷を引き起こします。また、慢性的なストレスはホルモンバランスを乱し、アドレナリンやコルチゾールの分泌増加により血圧を上昇させ、血管に大きな負担をかけます。さらに、ストレスは慢性炎症を引き起こし、動脈硬化の進行を促進します。

・食生活の乱れ

過剰な塩分、糖分、脂質の摂取は血管年齢の上昇に直結します。塩分の過剰摂取は高血圧を招き、糖分や脂質の過剰摂取は血液の粘度を高め、血管内皮に負担をかけます。また、ビタミンやミネラルの不足も血管の健康に悪影響を及ぼします。

血管を若返らせるためには?

血管を若返らせるためには、血管内皮細胞の機能を活性化することが重要です。

・運動

有酸素運動は、血管の柔軟性を高める一酸化窒素(NO)産生増加を促します。それにより血管内皮機能が改善することが多数の論文で報告されています。運動にもウォーキングやジョギングなどの有酸素運動と筋トレなどの無酸素運動があります。血管のために行う運動とするなら、心臓への負担が大きい無酸素運動よりも有酸素運動が良いとされています。毎日継続して行うことが大切ですので、エレベーターのところを階段にする、一駅電車ではなく歩いてみるなど、少しずつ運動習慣を定着させることが大切です。

・食事

塩分を減らす

過剰な塩分は血圧を上げる原因にもなり、内皮細胞を傷つけ機能低下を招きます。加工食品や調味料は塩分濃度が高いものも多く、気づかないうちに過剰に摂取してしまうこともあります。調味料については、出来るものは、作って味を調整するのも良いでしょう。また、塩分を排出してくれるカリウムをバランス良く摂取することも大切です。

良質なタンパク質の摂取

タンパク質は強い血管を形成する大切な栄養素です。魚に含まれているEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸は血液を流れやすくし、動脈硬化予防に役立ちます。魚の中でもEPAやDHAが多く含まれているのは、マグロ、サンマ、ブリと言われており、特にミナミマグロが良いとされています。脂ののったものがオススメですので、季節ものを食すのが良いですね。

ポリフェノールの摂取

ストレスや喫煙、紫外線などにより活性酸素は体内に増加します。活性酸素は血管を傷つけ炎症を引き起こすため、過剰な生成を抑えることが必要です。抗酸化作用がある食べ物は、たくさんありますが、一つはポリフェノール。タキシフォリンもポリフェノールの一つであり、活性酸素が増えるのを抑えてくれます。

まとめ

・血管年齢とは、血管のしなやかさや硬さを基準に算出される指標である
・血管の老化は生活習慣によって改善できる
・適切な運動(有酸素運動)や減塩、魚のタンパク質摂取で血管の柔軟性を保つ
・ポリフェノールの摂取で活性酸素の過剰生産を減らし血管を守る

血管年齢の管理は、全身の健康維持に欠かせません。適切な運動、バランスの取れた食事、ストレス管理を心がけることで、血管の若々しさを保ち、健康寿命を延ばすことが可能です。自分の血管年齢を知り、日常生活に健康的な習慣を取り入れていきましょう。

参考:朝日生命ネットほけん「血管年齢を下げる食べ物は?血管が老化する原因と対処方法

https://www.asahi-life.co.jp/nethoken/howto/other/foods_lower_blood_vessel_age.html
参考:サワイ健康推進課「あなたの血管年齢はいくつ?」

https://kenko.sawai.co.jp/healthy/201702.html#:~:text=%E8%A1%80%E7%AE%A1https://vitabrid.co.jp/columns/healthcare/dhaepafish2406/?srsltid=AfmBOoqHmb969LF9QniVN_hmXpHUi0fo5yglxIJ180TEjhm4KR5trcXW%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E3%82%92%E8%8B%A5%E8%BF%94%E3%82%89%E3%81%9B%E3%82%8B,%E3%81%8C%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82