ポリフェノールとは

皆さんは、緑茶を飲んだとき「苦い!」と感じた経験はありませんか?実はこの苦味の正体が、ポリフェノールです。ポリフェノールは、植物が作る天然の化合物群で、複数のフェノール水酸基(ベンゼン環に直接結合した水酸基(-OH))を持つ物質の総称です。例えば、ナスの紫の色素(アントシアニン(ナスニン))や緑茶の苦味(カテキン)、柿の渋味(タンニン)などがそれに当たり、植物が外敵から身を守るために作られると言われています。”食べ物の皮には栄養がある”と言われているのは、樹皮、表皮、種子などにポリフェノールが多く含まれているためです。

フェノール ポリフェノール 構造式

引用:日経Gooday「健康効果というと、なぜ赤ワインばかりが取り上げられるのか」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/012000017/?P=2

ポリフェノールの種類と効果

ポリフェノールの種類

ポリフェノールは約8,000種類以上も存在していると言われています。代表的なものとして、大豆に含まれるイソフラボン、玉ねぎのケルセチン、お茶のカテキン、柿のタンニンなどがあります。抗酸化作用をはじめ多くの健康効果が期待されていることから、アンチエイジング素材としても注目されています。

ポリフェノールの効果

ポリフェノールの主な効果として、以下の3つが挙げられます。

1.抗酸化作用による細胞の老化防止

体内の活性酸素を抑制し、アンチエイジングや全身の疾患の予防に寄与します。

2.血流改善

血液をサラサラにすることで動脈硬化や高血圧のリスク軽減が期待されます。

3.認知機能の向上

活性酸素を除去することから、脳の健康をサポートする効果も報告されています。

 

カテキン

次に、具体的なポリフェノールの効果として、以下のようなものがあります。

・緑茶に含まれるカテキン

殺菌作用や抗ウイルス作用があることから、風邪やインフルエンザ予防に役立つとされています。

・ブルーベリーに含まれるアントシアニン

脳に視覚情報を伝える「ロドプシン」というたんぱく質の再合成を促進することから、視覚機能の改善効果があるとされています。

・ウコンに含まれるクルクミン

お酒を飲む前に飲む栄養ドリンクなどに含まれていることも多く、肝機能を助ける働きがあるとされています。

・大豆由来のイソフラボン

女性ホルモンに似た作用があることから、女性特有の疾患に効果が見込めます。女性ホルモンのバランスを整えてくれることから、PMSやPMDD、更年期症状の緩和をサポートすると言われています。

・松樹皮由来のプロアントシアニジン

松樹皮から抽出されたポリフェノールで、血管をしなやかに保つことから、血流の改善や血圧調整、コレステロール値の調整等を行うとされています。

・カラマツ由来のタキシフォリン

カラマツから抽出されたポリフェノールで、ジヒドロケルセチンとも呼ばれています。ロシアでは血流改善・血管保護としての役割で広く利用され、認知症や心疾患の予防、また生活習慣病の予防や改善に関する有効なエビデンスが多数報告されています。

 

ポリフェノールには、優れた抗酸化、抗糖化作用があるものが多いため、スポーツや屋外での仕事で紫外線を浴びやすい方、ストレスを抱えやすい方、甘いものが好きな方にお勧めの栄養素です。

ポリフェノールの摂取方法

ポリフェノールは、水に溶けやすい性質があることから、比較的短時間で体内に作用します。その一方で、体内に蓄積されにくいことから、長時間作用が持続しません。そのため、一気にまとめて摂取るのではなく、朝昼晩と小まめに摂取することが大切です。
ポリフェノールの中には、血糖値上昇抑制作用があるものも多いことから、食前に摂取するのが良いとされています。
栄養素には1日の摂取目安が設定されておりますが、ポリフェノールには推奨量というものがありません。一般的には、一日1,000~1,500mg程度を目安に摂取するのが良いとされ、飲み物に換算すると緑茶10杯程度、または珈琲5杯程度です。固形物から摂取するのも良いですが、小まめに摂取しやすいことからも、飲み物で摂るのがお勧めです。

ポリフェノールを摂取する際の注意点

ポリフェノールには、特にタンニンなど、金属イオンやタンパク質と結合しやすい性質を持つものがあります。このため、タンニンを多く含む食品や飲料(例: 渋柿、紅茶、赤ワイン)と鉄剤や亜鉛、カルシウムなどのミネラル豊富な食品を同時に摂取すると、これらの吸収が妨げられる可能性があります。ミネラルとタンニンを摂取する場合は、1~2時間程度の間隔を空けると良いでしょう。また、ビタミンCを組み合わせることで、鉄の吸収を促進し、影響を緩和できます。ポリフェノールの成分は基本的に苦味があるので、甘味を加えたくなることもあります。しかし、それで糖を摂りすぎてしまっては本末転倒ですので、ポリフェノールの苦味を楽しみつつ摂取しましょう。ポリフェノールには、種類によって健康効果も異なります。そのため、自分の気になる健康への効果が見込めるポリフェノールの摂取も良いですし、一種類だけ飲み続けるのではなく、色々なものから摂取するのもお勧めです。

まとめ

・ポリフェノールは、植物が外敵から身を守るために作られるもの
・ポリフェノールは8000種類以上存在している
・抗酸化作用があることから、アンチエイジングや血管への良い作用がある
・長時間体内に留まることが出来ないため、小まめな摂取が大切
・ポリフェノールの中でも特にタンニンを多く含む食品や飲料と鉄剤やタンパク質との併用は避けた方が良い
・1種類だけでなく様々なポリフェノールを摂るのがお勧め

 

日頃からタイパを意識した生活が強いられるようになり、食事の時間もゆっくりと取れない方も多いのではないでしょうか。そんな人にこそ、抗酸化、抗糖化作用が優れたポリフェノールは必要な栄養素。私たちの健康維持や生活の質を向上させてくれる素晴らしい成分です。忙しい毎日の中で、ポリフェノールを含む食品や飲み物を意識的に取り入れて、健康をサポートしていきましょう。

 

参考:からだケアナビ「ポリフェノールの効果と摂り方」https://www.karadacare-navi.com/foods/08/
花王「ポリフェノールの健康価値」https://www.kao.com/jp/healthscience/report/report066/report066_01/
健康長寿ネット「ポリフェノールの種類と効果と摂取方法」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/polyphenol.html