ミネラルとは

ミネラルはたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンに続く五大栄養素の一つとされており、健康維持に欠かせない大切な栄養素です。体内では生成できないため、食事から摂取する必要があり、骨や歯の形成、筋肉の動き、神経伝達、エネルギー代謝など、私たちが健康に過ごすための多くの生理的機能に関与しています。人間の身体の4~5%はミネラルで構成されており、体重60kgの人の場合、約2.5kgがミネラルということになります。

ミネラルは16種類ある

人間が生きていくために必須なミネラルは16種類あると言われています。ナトリウム、マグネシウム、リン、イオウ、塩素、カリウム、 カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、セレン、モリブデン、ヨウ素の16個です。ミネラルには身体の恒常性を保つ重要な役割があり、例えば、カルシウムは歯や骨をつくる、カリウムは血圧の調節や心筋収縮の調整を行う、鉄は赤血球のヘモグロビンの主成分となる等の役割を果たしています。

多量ミネラル

多量ミネラルとは、主要ミネラルとも呼ばれており、1日の必要摂取量がおよそ100mg以上必要なもののことを指します。

多量ミネラルの種類

多量ミネラルと言われているものは次の通りです。

ミネラル 役割
カルシウム(Ca) 骨と歯の形成、筋肉の収縮や神経伝達に不可欠です。
リン(P) 骨の健康とエネルギー代謝をサポートします。
カリウム(K) 筋肉の正常な機能や血圧調整を行います。
ナトリウム(Na) 体液のバランスや神経信号の伝達に必要です。
マグネシウム(Mg) 酵素の活性化、エネルギー産生の役割を持ちます。
イオウ(S) アミノ酸の一部として体内のタンパク質合成に関わります。

微量ミネラル

微量ミネラルとは、1日の必要摂取量がおよそ100mg未満で、比較的少量の摂取で十分なミネラルのことを指します。

微量ミネラルの種類

微量ミネラルと言われているものは次の通りです。

ミネラル 役割
鉄(Fe) 酸素の運搬に関わるヘモグロビンの成分です。
亜鉛(Zn) 免疫機能や細胞分裂を促進します。
銅(Cu) 鉄の代謝やエネルギー産生をサポートします。
マンガン(Mn) 骨の発達とエネルギー代謝に関与します。
ヨウ素(I) 代謝を調節する甲状腺ホルモンの生成に必要です。
セレン(Se) 抗酸化作用を持ち、免疫機能をサポートします。
クロム(Cr) インスリンの働きを助け、血糖値を安定化させます。
モリブデン(Mo) 酵素を活性化させます。
コバルト(Co) ビタミンB12の成分で、赤血球の生成を助けます。

 

その他、必須ミネラルではありませんが、微量ミネラルとして歯磨き粉に良く含まれているフッ素(F)があります。上記でそれぞれの役割をご紹介しましたが、ミネラルは役割の全てが明かされているわけではなく、まだまだ未知の可能性があると言われています。

 

各ミネラルの必要な目安量

各ミネラルの目安量は次の通りです。

ミネラル 男性の目安量 女性の目安量
カルシウム(Ca) 800 mg 650 mg
リン(P) 1000 mg 800 mg
カリウム(K) 2500 mg 2000 mg
ナトリウム(Na) 7.5 g 未満(食塩相当量) 6.5 g 未満(食塩相当量)
マグネシウム(Mg) 340 mg 270 mg
鉄(Fe) 7.5 mg 10.5 mg
亜鉛(Zn) 11 mg 8 mg
銅(Cu) 0.9 mg 0.7 mg
マンガン(Mn) 4.0 mg 4.0 mg
ヨウ素(I) 130 µg 130 µg
セレン(Se) 30 µg 25 µg
クロム(Cr) 10 µg 10 µg

 

※ナトリウムに関しては目標量となります。
※イオウは、普段の食事を通じて十分に摂取できることから推奨量は設定されていません。
※コバルトはビタミンB12の一部であることから、ビタミンB12を摂取すれば、コバルトも十分摂取できるため、推奨量は設定されていません。
※塩素は、食塩の一部として摂取されるため塩素単体の目安量は設定されておりません。

 

各ミネラルの摂取方法

各種ミネラルが含まれる食品は次の通りです。

<多量ミネラル>

ミネラル 含まれる食品
カルシウム(Ca) 乳製品、緑黄色野菜
リン(P) 肉類、魚介類、乳製品
カリウム(K) 野菜、果物(特にバナナ)、豆類、ジャガイモ
ナトリウム(Na) 食塩
マグネシウム(Mg) 穀物、豆類、緑黄色野菜、ナッツ類
イオウ(S) 肉類、魚介類、卵、豆類(タンパク質豊富な食品)
塩素(Cl) 食塩

 

<微量ミネラル>

ミネラル 含まれる食品
鉄(Fe) 肉類、魚介類、穀物(ヘム鉄・非ヘム鉄)
亜鉛(Zn) 肉類、魚介類、穀類
銅(Cu) 貝類、レバー、穀物、ナッツ
マンガン(Mn) 穀物、豆類、緑黄色野菜
ヨウ素(I) 海産物(特に海藻)、乳製品
セレン(Se) ナッツ、穀物、魚介類
クロム(Cr) 穀物、肉類、チーズ
モリブデン(Mo) 穀物、レバー、乳製品、豆類
コバルト(Co) ビタミンB12を含む食品(肉類、魚介類、乳製品)

まとめ

・ミネラルは体内で生成できないため、食事から摂取する必要がある
・ミネラルは、身体構造、生理的機能の恒常性に深く関与している
・多量ミネラルは1日の必要摂取量がおよそ100mg以上必要なもの、微量ミネラルは1日の必要摂取量がおよそ100mg未満のもの

 

ミネラルは不足すると疲労感、貧血、骨の弱体化など、様々な体調不良につながることがあります。1日の摂取目安やどんな食材に入っているかを知り、自分に不足しているものはないか、また不調の原因としてミネラルの不足が考えられないか、改めて考えてみることが大切です。

 

※1 厚生労働省e-ヘルスネット「ミネラル」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html

参考:捕食ナビ「ミネラル13種類の働きと主な食品一覧」
https://hosyokunavi.com/mineral_function_foods/

参考:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html