前回、タキシフォリンの“生みの親”であるN.A.チュカーフキナ博士の歩みについてお伝えしました。今回はチュカーフキナ博士の研究によるタキシフォリンの「毛細血管血流改善作用」について、まとめてみたいと思います。

日本国内では「認知機能改善」についての研究が特に注目を集めるタキシフォリンですが、本国ロシアでは糖尿病など生活習慣病対策素材として広く知られた素材であり、現在もさまざまな大学や国立機関で基礎・臨床研究が行われています。

 

N.A.チュカーフキナ博士は、タキシフォリンの「毛細血管血流改善作用」を明らかにするために、ラットによる検証試験を行っています。

頸動脈1本を完全に結束、また別の頸動脈の血流を半分に制限し、脳虚血を誘発させたラットから、5日後に血液を採取。通常ラット群、タキシフォリン・ビタミンC摂取群、非摂取群(対照群)での血液の流動性を評価したところ、タキシフォリン・ビタミンC摂取群の赤血球変形能は通常ラットと同レベルであったことが確認されています。

 

赤血球変形能は良好な血液循環、酸素運搬を保つための機能です。低下することによりさまざまな害が出てきますが、脳虚血が発生しているにもかかわらず通常ラットとほぼ同等の赤血球変形能指数となりました。これはタキシフォリン・ビタミンC摂取群において、毛細血管の血流改善効果が示唆されたということです。

健康と美容のためには「血流改善」が必須であることは、多くの方がご存じでしょう。ちなみにAmazonの書籍売れ筋ランキングでは、『血流がすべて解決する』<堀江昭佳著>が薬草・漢方カテゴリ第1位となっています(2020年2月5日現在)。良好な血流はメンタル面でも良い影響があると言われており、「血流改善」を切り口とした健康食品や健康グッズなどは増加傾向にあります。

 

さらに「血流改善」は、認知症にとっても大きなキーワードです。アルツハイマー型、レビー小体型、前頭側頭型の各認知症は、それぞれ場所は違うものの、いずれも脳内の血流低下が見られるからです。

 

チュカーフキナ博士は、先述の研究同様に脳虚血を誘発させたラットでT字型迷路実験を行いました。通常群、タキシフォリン・ビタミンC摂取群、非摂取群に分け、迷路の先に飲料を置き、飲料への到達時間とその過誤回数を評価するというものです。その結果、タキシフォリン・ビタミンC摂取群は、実験3日目に飲料到達時間および過誤回数ともに大きな改善が見られ、通常群と同レベルの値になったのです。

 

一方、非摂取群は移動速度の低下、過誤回数の増加など、脳虚血による学習能力の低下が見られました。このことから脳虚血状態においても、タキシフォリン・ビタミンCは毛細血管の血流を促し、脳神経を保護する効果があることが示唆されたのです。